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視覚障害受験者への合理的配慮は現行の試験時間延長では不十分である

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 入学試験などにおいて、視覚障害のある受験者に対する現行の合理的配慮(点字による出題?解答と1.5倍の時間延長)は、複雑な表の読み取りを要する試験では不十分であることを解明し、視覚障害のある受験者の能力を適正に評価するための試験方法の検討が急務であることを提起しました。

 私たちは、その結果が受験者に重要な影響を及ぼす試験をしばしば受験します。その一つである大学入学共通テストでは、現在、点字による受験者には通常の試験時間の1.5倍の延長が認められています。しかし近年、図表を用いた出題の増加や問題の複雑化など、試験の質が変化しており、現行の配慮で十分に合理的かどうかを検証する必要があります。

 本研究では、表を含む試験における現行の時間延長の妥当性について、文章と表の読み取りに要する時間の測定により検討しました。その結果、文章だけを読み取る課題では、被験者の70%が1.5倍以内、100%が2倍以内で読み終えることができました。それに対し、点字で作成した表を読み取る課題では、どの被験者も1.5倍や2倍の延長時間内に読み終えることができませんでした。また、表の読み取り課題では、読速度に大きな個人差が見られ、点字の文章を読み取る課題との間に相関関係は認められませんでした。すなわち、点字の文章の読み取りが速いからといって、必ずしも点字で書かれた表の読み取りが速いとは限らないということが分かりました。

 この結果から、表を含む試験問題の場合、点字を使用する受験者に対する現行の時間延長では不十分であることが明らかになりました。点字を使用する受験者の能力を適正に判断するための試験方法を考えることは、障害の有無を問わず、一人ひとりの能力を適正に測るための方法はなにかという問題につながり、現在の試験の枠組み自体を再考する必要性を提起しています。

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プレスリリース

研究代表者

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宮内 久絵 准教授

掲載論文

【題名】
Investigating the Validity Issue of Extended Time for Students with Blindness in Tests Involving Complex Tables
(複雑な表を含む点字試験における視覚障害のある受験生への時間延長の妥当性に関する検討)
【掲載誌】
Journal of Visual Impairment & Blindness
【DOI】
10.1177/0145482X241286001

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