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群れの形態と揺らぎが大規模な方向転換を引き起こす?数理モデルで理解する群れの行動?

研究イメージ画像 (Image by Nikolay Zaborskikh/Shutterstock)

 魚や鳥などの動物の群れは、リーダー不在でありながら、群れ全体が方向転換をするなどの大規模な意思決定を随時行なっています。群れには数千から数万個体もが含まれ、伝言ゲームのようなローカルな情報伝達では、全体の意思決定までに膨大な時間がかかってしまいます。


 これまで、群れが臨界状態(秩序と無秩序の境界、揺らぎ)にあることが、素早い意思決定に重要である、つまり、群れの中で臨界状態を制御することで、情報伝達を効率化し、行動の選択肢に幅を持たせている、と考えられてきました。しかし、「情報の共有?伝達を素早く行うこと」と「共有された情報に基づいて行動すること」の間には依然としてギャップがあります。


 本研究では、動物の群れの行動を表す新しい数理モデルの構築を試み、群れの中で個体間の相互作用が曖昧な領域を作ることで「なんとなく行きたい場所」を揃えるというモデルを提案しました。それぞれが向かう方向を曖昧に決めるため、全体としておおよそまとまることができる一方で、群れは決して一つの状態に収束せず、さまざまな形態を創出することが確認できました。


 さらに、群れ全体が大規模な方向転換をするには、群れの中の臨界状態の他に、その状態を変換するような群れの形態も必要であることが分かりました。これは、群れの内部の臨界状態と群れの形態との組み合わせにより、リーダー不在の素早い方向転換ができることを意味しています。


 本研究結果は、集団における意思決定の最適化には、それをうまく活かす構造や配置が必要であることを示唆しています。


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研究代表者

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新里 高行 助教

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