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視線が前方の歩行者につられる効果をVRで実証

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(Image by Shutterstock AI/Shutterstock)
 VR実験により、歩行者の「立ち止まる」「視線を向ける」といった行動が、後ろを歩く人の「つられ注視」を生み、公共ディスプレイへの気付きを大きく高めることが分かりました。ただし一瞬の注視では内容理解にはつながりにくく、また、文化的背景による違いは確認されませんでした。

 街中のデジタル看板(公共ディスプレイ)は、便利な情報発信の手段ですが、多くの人は気付かずに通り過ぎてしまいます。一方で、誰かが画面を見て立ち止まると、周囲の人もつられて視線を向けることがあり、こうした現象を活用すれば、より多くの人に情報を届けられる可能性があります。

 本研究では、VR(仮想現実)に実際の街並みに近い環境を再現し、前方を歩くアバター(仮想の人物)の行動が後ろを歩く人にどのような影響を与えるのかを調べました。アバターには公共ディスプレイに対して、「通り過ぎる」「画面をちらっと見る」「画面へ近づいて立ち止まる」という3つの行動を設定し、被験者の反応を分析しました。

 その結果、前方のアバターが画面に近づき、立ち止まって見るという「わかりやすい注目行動」を示したとき、被験者も高い確率で画面へ視線を向けることが分かりました。また、向かい側から歩いてくる人が画面を見る場合にも、同様の傾向が見られました。つまり、他者の視線や動きが、周囲の人の気付きを自然に生み出すことが示されました。

 一方で、画面に気付いても、歩行中の短い一瞬では内容をしっかり記憶することは難しいことも分かりました。また、こうした「つられやすさ」に文化的背景による大きな違いは見られませんでした。

 本研究は、VRの活用により街中での行動を安全かつ正確に再現し、公共ディスプレイの見られ方を科学的に検証できることを示しました。これらの知見は、広告デザインや街づくり、さらにはVR空間での情報発信にも役立つと期待されます。

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プレスリリース

研究代表者

网上哪里能买篮彩システム情報系
善甫 啓一 准教授

掲載論文

【題名】
Honey-pot effect on pedestrian attention to public displays in a virtual environment: head turns, walking past, and direct approaches
(仮想環境における公共ディスプレイへの歩行者の注意に対するハニーポット効果:頭部の向き、通り過ぎ、直接的な接近)
【掲載誌】
Frontiers in Virtual Reality
【DOI】
10.3389/frvir.2025.1714725

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